オリエント急行の旅「ロンドン〜ヴェネチア経由フィレンツェ」
                 2001年4月19日〜21日


<動く豪華ホテル>に大感激
伝説に輝く往年の豪華列車ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス(VSOE)は
現在もロンドンから英仏海峡を渡り、パリ、そしてヨーロッパの中でも特に美しい
雄大なアルプスを望むチロル地方を経て水の都ヴェネチアへと走っている。
磨き上げられた濃紺と黄色の車体と、
豪華なアールデコ調の内装で飾られた<動く豪華ホテル>。
胸の鼓動を抑えきれず社交界の華といわれた列車に乗り込んだ。


<1929年製の豪華寝台車 ヴィクトリア駅発>
ロンドンのヴィクトリア駅のVSOEのチェックイン・カウンターに
タキシードの入った衣装ケース、トランクを持って1時間半前に行くと
すでに年配のカップルが待っていた。
荷物のチェックインは列車内で使わない荷物は荷物車に、
ドレス、タキシードはじめ車内で使う荷物はそこで預けてしまえば、キャビンまで運んでくれる。
チケットに車両名を「ロンドン〜カレー間は英国プルマン車のCYGNUS、
カレーからはワゴン・リー寝台車のC1」とチェックインのとき書き込んでくれた。
ヴィクトリア駅を出発、英仏トンネルをシャトル・サービスで渡り、
カレーでワゴン・リー車に乗り込むのだ。
いよいよロンドン〜フィレンツェまでの旅の始まりである。

ヴィクトリア駅のホームに止まっているプルマン車に乗ると、
ローズウッドとマホガニーで造られたサロン風の室内のテーブルには
銀の食器の用意がしてある。
座ってメニューを見ているうちに列車は走り出していた。
早速食事だ。
ウエルカムシャンパン、ミントのスープにシーバスをカラッと焼いてクリームソース、
ブルーベリーとチョコのケーキ、食事の間、ワインのサービスが絶えない。
魚のシーバスがこんな美味だったか。
ワインのほろ酔い気分も抜けないうちにフォークストンに到着。
英仏海峡の波が高いのでバスで海底トンネルをシャトル・サービスで行く。

 シーバスのグリル

目指すワゴン・リー寝台車がカレー駅に見えた。C1の車両を探す。これだ。
1929年に仏国で造られた豪華一等寝台車、キャビンスチュワードが案内してくれる。
「ブルーノです、ご用は何なりと私に」と言う。
洗面台にはタオルはじめ総てそろっている。お湯も出る。ミネラルも十分ある。
安心したところにレストラン・マネジャーが夕食の時間を聞きに来た。
午後8時30分を指定。

 ワゴン・リー
 カレー駅にて

<心地いい揺れに包まれ…>
いよいよタキシードに変身し、わくわくしながら食堂車に入ったら途端に世界が違う。
車内は紳士淑女の華やかな声でみなぎっている。
97年のモンラシェのワインでオリエント・エクスプレスの旅のハイライトの
フランス料理に舌鼓を打つ。
車体のわずかな揺れが心地いい。
食後、細長い通路を行くとピアノの音が聞こえてきた。バー・カーからだ。
ドアをあけると内装はジェラール・ガレによるアールヌーボー調に仕上げられた別世界だ。
ソファに座っていると、やがてイブニングドレスに身を包んだレディがカップルで来た。

 バー・カー(サロン)

カナリア諸島に住むティム夫妻、もう一組は英国アスコットに住むジュリアン夫妻で
いずれも40歳代、写真を撮り合い話が弾む。
外は暗闇だがたぶんチューリッヒに近いはずだ。
午前2時半、寝室に戻る。キャビンは心地よさそうなベッドに変わっていた。
翌日早朝、窓のブラインドを開けると雪景色だ。
インスブルック駅にしばし停車、ホームに降り立つと寒気が心を爽やかにしてくれる。
朝食はキャビンで、昼は食堂車で済ませ、アフタヌーンティーのあとヴェネチア駅に到着。
2時間の観光をしている間に車内はきれいに清掃されていた。
明日朝には目的地フィレンツェ到着である。

<料理・ワインも最高、雰囲気も抜群>
オリエント急行の食事の素晴らしさはさすが。
中でもマグロをフライパンで揚げた料理。
香草のウイキョウと一緒にカラッと焼いたシーバス(スズキ)、
オレンジ風味のバターソースのかかったグリーンアスパラガスは抜群で
思わずシェフに作り方を聞いてしまった。
ワインもサービスも最高。
タキシード、イブニング姿の車内は時代をタイムスリップさせてくれる。
バーのサロン・カーはその雰囲気を一気に最高潮に感じさせた。
こんな素晴らしい世界があったんだと大感激。


[メモ]
オリエント急行のロンドン〜フィレンツェ間は昼食・夕食・宿泊・朝食・アフタヌーンティー・
夕食・宿泊・朝食付きで26万2000円(2001年現在)。
問い合わせはオリエント・エクスプレス・ホテルズ・ジャパン(電話03−3265−1200)


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